欲望の捌け口

勢いで書いてます

パラサイト・イヴから得られる異種間のマゾヒズム的興奮

 一級のSF文学となりうる資質を持ちながらB級ホラーに落ち着いてしまったかつてのベストセラー本。結果的にはそれが幸いして大衆に受け入れられ商業的には大成功となった。

テクストも状況描写が「~だった。~していた。~だった。」とこの調子で続いていくので読みにくいというよりうんざりしてくる。

しかし、そのアイデアの奇抜さは、SFが堅苦しい読み物として大衆に敬遠されていた時代においては大きく注目を集めることができたのだろう。

ここまでで、僕の個人的な評価としてはamazonで星を付けるならば☆3つ辺りなのだが、予想していなかったことに、僕のマゾヒズム欲求を満たしてくれたので☆5つを差し上げたいと思う。

マゾヒズム的見地から何が素晴らしいのかというと、主人公が最愛の亡き妻のミトコンドリアに犯されるシチュエーションが最高に興奮させてくれるのだ。

字面でみるととんでもないシチュエーションだなと笑ってしまう。そんな異種というよりも生物と呼ぶことすら妥当なのか分からない、人間からしたら圧倒的に低次の存在であるミトコンドリア(人間が無数の細胞の集まりであることは置いておいて)によりなすすべもなく犯されてしまうのだ。

グロテスクな風貌をしていながらも部分的には亡き妻の口や乳房を持っているミトコンドリアに愛を囁かれながら犯される。この亡き妻はそれまでの描写から純粋無垢な美少女を読者に連想させる。そんな美少女に必死の抵抗をしながらも抑え込まれ馬乗りされ犯されるのだ。

しかもこのミトコンドリアは主人公のことを愛している。まだ死ぬ前の妻の身体の性感帯を勝手に増やし感じやすくさせ、主人公に飽きさせないようにするなど絶対に主人公を手に入れようとするヤンデレ的性質まで兼ね備えているのだ。

以上の点より、パラサイトイヴはB級ホラー小説であり、マゾヒズム小説でもあるのだ。証明終了。

 

パラサイト・イヴ (新潮文庫)

パラサイト・イヴ (新潮文庫)